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用語解説

Non Surgical Orthopedics *1

メスを使った、いわゆる外科的な手術以外の治療手段(局所注射、運動療法、徒手療法、認知行動療法、薬物療法など)を用いて、医師・リハビリスタッフ・鍼灸師・義肢装具士などの多職種が協力して、膝・肩・腰・肘・手・足などの体の痛みの治療を行います。
今ある「整形外科学(Orthopedics)」は、明治時代に東大の初代整形外科学教授となった田代博士がドイツ留学後に邦訳・命名しました。『整』という文字には、整形科(学)ではなく整形外科(学)であるもの、その命名とは異なり、運動器領域全般の疾患に対する保存加療も手術加療も内包させる広義の意味が内包されるとのことでした。時代は移り変わり医学が高度に進化するとともに、すべての領域において専門分化が進みました。例えば、心臓領域を担当する科では循環器内科と心臓外科、消化器官領域を担当する科では消化器内科と消化器外科とがあるように、多くの領域では内科系と外科系が存在するようになりました。しかし令和の時代においても、運動器領域に関しては手術以外の治療を専門に担当する内科系にあたる科はありません。近年、大きな病院の整形外科はその名の通り、ほとんどが外科的治療、すなわち手術治療に特化した体制がとられる様になってきています。したがって膝が痛くて受診したにも関わらず、手術が不要であれば、その病院では非手術的治療を十分に行う体制が整えられていない可能性があります。あるいは手術後に退院すると、その病院では通院リハビリテーションができないシステムであったりもします。アメリカでは、運動器疾患領域においてもSurgical Orthopedics・手術的整形科と、Non Surgical Orthopedics・非手術的整形科(整形内科)の両方が設置され、運動器疾患の手術と手術以外の治療の役割分担がより明確になりつつあります。

エコーガイド下ファシアハイドロリリース*2

エコーを使って注射の針先を見ながら、狙いを定めたファシアに、注射したい薬液を用いて確実にリリースを行う治療手技のことです。その目的は、ファシアに補水したり、痛み物質を洗い流したりすることで、ファシアの正常な機能や状態を取り戻すことです。その結果として、ファシアの柔軟性を向上させたり、ファシアが原因であった場合の痛みを軽減させたりすることを目指しています。

Fascia(ファシア)*3 

ファシアは解剖学用語では用語としては、「筋膜」と和訳されていますので、ファシアは、すべてが筋肉を包んでいる「筋膜(特に、筋外膜)」であると混乱してしまうことがありますが、それは違います。実際のファシアという組織は筋、腱、靭帯、皮下組織などの線維性の構造を全て含む言葉であります。

  • ファシア
    全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う線維性の網目状組織構造です。臓器の動きを滑らかにし、これを支え、保護して位置を保つシステムです。
  • 筋膜
    個々の筋線維、筋肉または筋肉群を包み、互いを分割および連結する線維性組織。

運動器領域であれば、ファシアは腕や脚の筋肉や腱や神経や血管の間にも存在しています。スポーツ動作の時には筋肉同士が滑るようにスムーズに動いたり、筋肉と筋肉の間を通過する神経や血管が筋肉の動きに引っ張られ過ぎることなく、ぬるぬると独立して滑走できるようにしています。この働きが低下すると余計な刺激を受けて痛みが出たりします。また痛みは神経線維からだけ生じるのではなくファシアそのものからも生じる場合もあるため、長時間のデスクワークやケガや手術の後に患部周辺のファシアの状態が正常でなくなると痛みが引かなくなることもあります。

*1, 2, 3本文章は日本整形内科学研究会(JNOS)のホームページ( https://www.jnos.or.jp/for_medical )の内容を、院長が患者様向けに改変したものです。また内容に関してはJNOSによる確認後、クリニックのHPに使用することの許可を受けています。 正確なご理解のためJNOSのHPをご参照頂くことを推奨いたします。

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